ML論文ななめ読み

malignant lymphoma関連の論文を中心に、適当に斜め読みしています。twitterでも関係ない医療ネタを時々つぶやいています(@lymphoma17)

FLのSUVmaxはtransformationを予測できない

www.ncbi.nlm.nih.gov タイトル出落ちみたいなお話なのですが、FLの治療前PET-CTで、beseline SUVmaxを参照し、transformation予測に有用かどうかを検討した論文です。 GALLIUM studyの549人のデータを使用して、SUVmaxのcutoffを10と20に設定して検討したけ…

FLのSUVmaxはtransformationを予測できない

www.ncbi.nlm.nih.gov タイトル出落ちみたいなお話なのですが、FLの治療前PET-CTで、beseline SUVmaxを参照し、transformation予測に有用かどうかを検討した論文です。 GALLIUM studyの549人のデータを使用して、SUVmaxのcutoffを10と20に設定して検討したけ…

定量的蛍光染色

www.ncbi.nlm.nih.gov BCL2の発現増強が治療抵抗性に結びつくのでは?というのを、定量的蛍光染色法を使って証明した論文。 手法的にはCD20陽性細胞のBCL2発現を見ている。定量的免疫染色法はBCL2の転座とcopy number gainと相関していて、普通の免疫染色法…

定量的蛍光染色

www.ncbi.nlm.nih.gov BCL2の発現増強が治療抵抗性に結びつくのでは?というのを、定量的蛍光染色法を使って証明した論文。 手法的にはCD20陽性細胞のBCL2発現を見ている。定量的免疫染色法はBCL2の転座とcopy number gainと相関していて、普通の免疫染色法…

R-pixantroneと再発DLBCL

www.ncbi.nlm.nih.gov 移植適応のない再発DLBCLかg3 FLに、R-pixantroneかR-GEMを投与して治療成績を調べたphase 3試験 (PIX306)。 pixantroneとは、アントラサイクリンの心毒性を弱くした薬剤で、PIX301で2つ以上の前治療歴のあるaggressive NHLに単剤投与…

BBBをぶっ壊せ(という話ではない

www.ncbi.nlm.nih.gov primary CNS lymphom (PCNSL)はBBBのために抗癌剤が腫瘍に到達できず、そのせいもあって治療成績が悪いです。一般的にはMTXを基幹とするレジメンで治療されるけど、効果がいまいちだったり、すぐ再発/再増悪する患者も多いです。そのた…

BBBをぶっ壊せ(という話ではない

www.ncbi.nlm.nih.gov primary CNS lymphom (PCNSL)はBBBのために抗癌剤が腫瘍に到達できず、そのせいもあって治療成績が悪いです。一般的にはMTXを基幹とするレジメンで治療されるけど、効果がいまいちだったり、すぐ再発/再増悪する患者も多いです。そのた…

自己末梢血幹細胞移植後のcHLに、抗PD-1抗体でmaintenance

www.ncbi.nlm.nih.gov 再発難治のcHLには、化学療法に反応さえしてくれれば自己末梢血幹細胞移植(APBSCT)を行うのだけど、やったとしても再発することは割と多い。なので、APBSCT後に抗PD-1抗体のpembrolizumab (Pem)をmaintenanceとして投与したというstudy…

予後良好DLBCLに対するR-CHOPの回数

www.ncbi.nlm.nih.gov DLBCLなどのaggressive B-cell lymphomaのうち、予後良好群は治療回数を減らしても良いのでは?というFLYER studyの結果。 具体的には一般的に6コース行われるR-CHOPを、4コースのR-CHOP→2コースのRのみと減量してみて、3年後の予後に…

予後良好DLBCLに対するR-CHOPの回数

www.ncbi.nlm.nih.gov DLBCLなどのaggressive B-cell lymphomaのうち、予後良好群は治療回数を減らしても良いのでは?というFLYER studyの結果。 具体的には一般的に6コース行われるR-CHOPを、4コースのR-CHOP→2コースのRのみと減量してみて、3年後の予後に…

PI3 kinase δ inhibitor, parsaclisibとB-cell lymphoma

www.ncbi.nlm.nih.gov PI3K-Akt-mTOR signal pathwayの阻害をして、B-cell lymphomaの治療をするというお話。薬品名はparsaclisibで、次世代のPI3K inhibitorであり、選択性が高いようだ。筆者はアラバマ大の人。 再発難治のB-cell lymphomaにparsaclisibを…

予期せぬ体重減少は予後因子なのか

ML

www.ncbi.nlm.nih.gov 病気で痩せてしまうと予後が悪いという割と当たり前じゃないの?という内容ですが、サイトカインとの関連も評価されているのが、新規味ということでしょうか。ホジキンはともかく非ホジキンはB症状の有無で予後が変わらないということ…

PTCLにupfrontのAPBSCTは意味がなさそう

ML

www.ncbi.nlm.nih.gov PCTL (NOS以外を含む)にup-frontで自己末梢血幹細胞移植をする意味があるかという論文。 初発PTCLは治療としてCHOPをやることが多いんだけど、積極的な理由ではなく、それ以外の選択肢があまりないから。再発は最近単剤のお薬が増えま…

腎障害と肝障害時の化学療法

ML

www.ncbi.nlm.nih.gov DLBCLは肝門部・腎臓直下にでっかいmassがあったり、肝・腎実質に浸潤してたりすると、肝障害や腎障害が生じます。また、薬剤はだいたいは肝代謝か腎代謝なので、臓器機能が障害されていれば、そのぶん体内に遷延して存在するので減量…

初発DLBCLにDA-R-EPOCHやる意味はない

ML

www.ncbi.nlm.nih.gov Alliance/CALGB 50303の結果です。治験的にはnegativeな結果ですが、少なくとも日本における血液内科的には崩壊しないで済んだ結果なので、読んどく。 DLBCLにおける標準治療はずっとR-CHOPな訳ですが、それを患者ごとに容量調整し、持…

CNS lymphomaの診断マーカー

ML

www.ncbi.nlm.nih.gov CNS lymphomaは早く診断すれば予後がよくなるというわけでもないんですが、腫瘍増大スピードが速めで、しかも機能損失すると回復があまり望めないことを考えると、なるべく早く診断したいのが正直なところです。しかも、診断には生検が…

FLは30ヶ月CRだとほぼ健常人と同じ予後

ML

www.ncbi.nlm.nih.gov FLはindolent lymphomaの代表例ですが、初期治療開始して30ヶ月の時点でCRだったら、スペインの健常人とOSは変わらないというお話です。 FLに対しては、最近ではRBを行うところも増えていますが、古くからはR-CHOPが行われています。CR…

AID発現がDLBCLの予後に影響する

ML

www.ncbi.nlm.nih.gov DLBCLの予後に関する論文。AIDはsomatic hypermutation (抗体を作るときに可変領域に変異が入ること)やclass switch recombination (可変領域がそのままでIgMがIgGなどに変化すること)に関わる酵素で、京大の本庶先生の仕事の一つなの…

DLBCLはEBV+だろうが免疫不全だろうが予後に関係ない (白人では?)

ML

www.ncbi.nlm.nih.gov 高齢者だけじゃないのが分かったので最近elderlyが取れちゃいましたが、EBV+ DLBCL-NOSというのがあります。病理的には普通のDLBCLみたいにsheet状に増えるときもあれば、ぱらぱら散在することもありますが、いずれにしろ腫瘍細胞はEBE…

抗PD-1抗体とデブ

www.ncbi.nlm.nih.gov これは論文と言うより新しい知見のまとめ的な記事です。freeなんで、リンクからたどれば誰でも全文を読めますが、なんでだか分からないんだけど、肥満の患者は抗PD-1抗体治療が良く効くよってお話。 肥満の定義はBMI 30以上のことが多…

high risk R/R cHLにBV consolidation

ML

www.ncbi.nlm.nih.gov 月末で忙しいので、brief reportでも。high riskなcHLの患者に対して、自己末梢血幹細胞移植(APBSCT)後のconsolidationとしてのBVのfollow upですね。 cHL自体は治療成績が良い疾患ですが、時々なかなか寛解に至らない疾患に遭遇します…

MDSでAZA治療中にeltrombopagを加えてはいけない (SUPPORT study結果)

MDS

www.ncbi.nlm.nih.gov 今年の雑誌を漁ってもMLの話題はそれほど多くないので、それ以外も読んでみます。ただ、基本的には去年の論文を掘り返していこうかなと思っているので、その他の血液論文は大規模studyに限ろうかなと思っています。今回はMDS。 MDSはあ…

agressive NHLへのCAR-T治療の予後因子

ML

www.ncbi.nlm.nih.gov 今年中にはDLBCLを中心としたagressive NHLへのCAR-T療法が始まろうという噂ですが、その予後因子について検討した論文。 Fred Hutchinsonを中心としたアメリカからの報告です。FDAでは既にaxicabtageneciloleucelとtisagenlecleucelと…

ステミラックへの懸念

脊髄損傷に対する適応で承認されたステミラックがNatureに批判されていますね。 www.nature.com 脊髄損傷を発症すると大量ステロイド後に長期のリハビリをやることになりますが、見通しはだいぶ厳しくて、元通りになる患者はほとんどいません。そもそも受け…

transformed FLの予後

ML

www.ncbi.nlm.nih.gov transformed FL (tFL)は必ずしも予後が悪いから起こるというのでもなく、なんでなっちゃうのかはっきりとは言えません。組織学的gradeが高いからなりやすいという訳ではないし、FLIPIが高いとなりやすい傾向があるけどそれは生検されて…

二日酔いにならない飲み方はあるのか

www.ncbi.nlm.nih.gov 一つの酒を黙々と飲むのと、ちゃんぽんで飲むのとどっちが二日酔いにならないかというランダム化試験の結果です。ネタ投稿ですが、内容はまじめです。 英語圏でもフランス語圏でもドイツ語圏でも、ワインの前にビールを飲んだ方が調子…

MCLにVR-CAP (LYM-3002 final report)

ML

www.ncbi.nlm.nih.gov 移植不適応の初発MCLに対して、VR-CAPとR-CHOPの比較をやったrandomised, open-label, phase 3 studyの最終報告の論文。割と初期から成績が良かったし、保険適応上も問題なくなったので、早々にコレにしちゃったところも多いんじゃない…

高齢cHLへのAVD + Len.の有用性

ML

www.ncbi.nlm.nih.gov cHLにABVDはスタンダードな治療で、かつ、なんのこうの言ってもG-CSF製剤を使わないで黙々とスケジュール通り治療しても大体OKという、医療者側にとっては割と頭を使わない面もある治療法です。ただ、いい制吐剤が出てきていつつも相変…

BR後のFLにR maitenanceをすべきかどうか

ML

www.ncbi.nlm.nih.gov FLの1st lineの最近の流行りはBRで、R-CHOPから移行している病院の方が多数になっている印象です。個人的にはそれってどうなのよって思っているのですが(そのうち書く予定)、BR後のmaintenanceにRを入れるかどうかというお話。 みんな…

PCNSLに対してWBRTの代わりにAPBSCTをする

ML

www.ncbi.nlm.nih.gov PCNSLの話題が続きます。 1st lineの治療として、「化学療法→全脳照射WBRT」 vs 「化学療法→自己末梢血幹細胞移植APBSCT」のどっちが良いかという議論。 PCNSLの治療は一般的に「HD-MTXを含む化学療法をした後にWBRT」をやるのだけど、…