ML論文ななめ読み

malignant lymphoma関連の論文を中心に、適当に斜め読みしています。twitterでも関係ない医療ネタを時々つぶやいています(@lymphoma17)

transformed FLの予後

www.ncbi.nlm.nih.gov

transformed FL (tFL)は必ずしも予後が悪いから起こるというのでもなく、なんでなっちゃうのかはっきりとは言えません。組織学的gradeが高いからなりやすいという訳ではないし、FLIPIが高いとなりやすい傾向があるけどそれは生検されていない部位で既に一部が転化していたのでは?という疑問(LDH高いとFLIPI高いので)もあったりとかで、はっきりとした答えはありません。なってしまうと、予後が悪くなるので、あらかじめ分かるとまだ戦略が取れるんですけどねぇ。ALLのうちPh-ALLはCRに入るけどすぐ再発しちゃう(TKIが出て改善しましたが)のは、基本すぐSCTみたいな感じで。

ということで、tFLをretrospectiveに解析して、その臨床学的特徴や治療戦略を検討するという論文です。イタリアの9施設から集めたtFLと診断された患者176人です。ちなみに、最初からcomposite lymphomaやdiscordant lymphoma (一つはもちろんFLで)でもOKにしています。group1とgroup2は大体1:1です。

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患者分類

結果はgroup2では治療前のFLの治療レジメン数が多ければ、transform後のCR率や予後が悪くなることとかは当たり前かな。また、group1で1st lineにAPBSCTをやった人は予後を改善しないのはちょっと残念だけど、APBSCTは再発DLBCLにしか予後を改善しないことから、当たり前と言えば当たり前。

2Aと2Bは、transform後にアントラサイクリン入りのレジメンでやると、5-y OSが良いとあるけど、患者内訳を見ると、これはtransform前にCHOPをやらなかった群と思われるので、当然と言えば当然。また、それ以外はgroup2でAPBSCTやって予後を改善したのは、transform後にアントラサイクリン入りのレジメンを入れなかった群に限る。2Aと2Bは1年以内にtransformした群は1年以上かかっての群より予後が悪い。

group1もgroup2も大して変わらないという報告もあるけど、治療が入っているか入っていないかで違うと思っているし、まあこちらの方が納得できるかな。基本的にFL grade3BはDLBCLと一緒とか、2年以内に再発したFLは予後が悪いとかの今までの知識からは、今回の論文の結果はreasonableと思う。だけど、やっぱり何がtransformに関わる因子かは論じられてもいなくて、もうちょっと踏み込んで欲しかったなぁ。