ML論文ななめ読み

malignant lymphoma関連の論文を中心に、適当に斜め読みしています。twitterでも関係ない医療ネタを時々つぶやいています(@lymphoma17)

腎障害と肝障害時の化学療法

www.ncbi.nlm.nih.gov

DLBCLは肝門部・腎臓直下にでっかいmassがあったり、肝・腎実質に浸潤してたりすると、肝障害や腎障害が生じます。また、薬剤はだいたいは肝代謝か腎代謝なので、臓器機能が障害されていれば、そのぶん体内に遷延して存在するので減量が必要になります。腎機能はeGFRなどと割合細かい設定ができるのですが、肝機能は数値化ができないので(ICGもあるけどさ)、やむなく「ビリルビンが上がってるなら、当然排泄できないはず!」ぐらいのノリで決まります。血液病レジデントマニュアルの最後のところとかにまとまっていますが、まあ普通減量する。

が、この論文は結構攻めていて、シクロフォスファミドは決して減量しない。透析患者は透析直後にfull dose投与である。それ以外も減量したのは20人中たったの5人。攻めるなぁ…。

ちなみに多くがR-CHOPで、それ以外はR-EPOCHが治療レジメンとして使用されています。一人が重症心不全になったり、違う一人が敗血症性ショックになって死亡していますが、一応CR rateは80%と良い。

でもなー、これはそのまま適応は考えにくいな。まあ、気持ち強めにやるとしても、個人的にはやっぱり減量して、その後に改善したら予定の量という路線かなぁ。臓器自体に浸潤での臓器障害と排泄経路の閉塞での臓器障害は見通しも違うし、筆者らの言うとおりに臨床試験も難しいよねぇ。