ML論文ななめ読み

malignant lymphoma関連の論文を中心に、適当に斜め読みしています。twitterでも関係ない医療ネタを時々つぶやいています(@lymphoma17)

消化されやすい薬物の経口投与

www.ncbi.nlm.nih.gov

悪性リンパ腫どころか、血液内科関連でもない論文。たまには読む。

インスリンは注射以外の投与方法がなくて、吸入が開発されていたけど、吸収率か効果発現時間がバラバラだったとかで、ダメだったという話を聞いたことがある。注射となると、消毒はいるし、針の処理は面倒だし、冷蔵保管だったりと、色々面倒なので、内服できれば色々うれしい。今は持続注入があるけど、少し楽になるだけで、根本的な解決ではないなぁ。

インスリンを経口投与できるようにそれ自体を消化しにくくすると、吸収も悪くなってしまうので、何らかの工夫が必要。この人達の解決策は、胃に粘膜注射をするという路線。胃は腸管と比べて筋肉で壁が厚いので、穿孔もしにくいし、一時的にここで滞留するのでちょうど良い。

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図解

上の図のAとCを見てくれれば分かるんだけど、形はリクガメの甲羅と同じような形をしていて、一定の方向以外は転がりやすくなっていて、時間が経つと多くは同じ向きに揃うようになっています。で、時間が経過すると、下向きに針が出てきて、インスリンを注射するというアイディア。この後、ちゃんと下向きに転がる(だいたい1秒後にはこの向きになる)のを確認して、インスリン血中濃度も皮下注と同じようなパターンになることを確認している。消化管穿孔もなし。

筆者たちは慢性的な副作用はよく分からないと言っているし、それ以外にもコストの面の問題もあるけど、こういう異分野からの発想系は面白いですよね。