ML論文ななめ読み

malignant lymphoma関連の論文を中心に、適当に斜め読みしています。twitterでも関係ない医療ネタを時々つぶやいています(@lymphoma17)

初発進行期HLとPET-CT

www.ncbi.nlm.nih.gov

ABVDより治療成績がよいescalated BEACOPPは副作用が問題だから、治療途中のPET-CTで治療効果が良さそうだったら、ABVDに下げてもいいんじゃないというtrial。AHL 2011という試験名で、ランダム化 多施設 非劣性試験第3相。

ベルギーとフランスの90施設からの823人の患者さんが、大体1:1に「4コースeBEACOPPをやる群」と「2コースeBEACOPPをやって、PET-CTで病変が残ってたらそのまま残りの2コースeBEACOPP、残ってなかったら2コースABVDに変更する群」の二つに分けて、治療成績(primary end pointはPFS)を検討しています。ちなみに、合計4コースの治療が終わった後にもPET-CTを撮影して、CRならそのままやってたregimenを更に2コース追加、残存病変あれば、脱落してサルベージ治療へ変更しています。

median follow upが50ヶ月ぐらいで、それぞれの群のestimated 5-years PFSは86.2%と85.7%と変わらず(per-protocolでもほぼ一緒)。副作用はやっぱりeBEACOPPの方が多くて、特に骨髄抑制が多いかな。治療関連死も6人 vs 2人(しかも、うち1例はeBEACOPP中の敗血症)とeBEACOPP群に多い。そして、治療開始後の妊娠も28人 vs 45人と、p = 0.036が付いてる。

まとめでは、PET guide下でeBEACOPPをして、ABVDにするのは悪くないぜという結論になっています。

ここからは個人的な意見ですが、BVが出ている状況で、ABVD以上の強い治療するなら、auto PBSCTでいいんじゃないかと思うんですよね。日本だとPET-CTをそんな間隔でやると保険適応外になってしまうし(半年に一回が目安)、HLは若い人が多いじゃないですか。しかも治療成績が良いから、治療終了後のことも考えてあげなきゃいけなくて、二次発癌やら、妊孕性の低下やらを含めて考えると、最初からeBEACOPPをやるのは得策ではないと思います。ABVDとBVの両方がダメだったら、autoPBSCTでいいんじゃね?